圧力(流量)損失を減らし、       
       エア機器の故障を防ぐ方法
エア消費量を30%節減する方法!

2004年度の日本国内で消費される全エネルギーを部門別でみると、工場等の産業部門では39.9%、自動車鉄道航空機等の運輸部門では19.2%、一般家庭用は11.3% 、発電所等のエネルギー転換部門では7.7%の比率になっています。

この産業部門で消費されるエネルギーの平均13%が(製造業では15%が、自動車、ゴム関係では約30%)空圧機器関連エネルギーと言われています。これを国内全体のエネルギーからみた割合で見ると、この数値は5.2%にも上ります。 これは、コンプレッサ空圧機器関連のエネルギーが、日本全体で消費されるエネルギーから見ると、いかに大きな割合を占めているかが分かります。言い換えれば空圧関連の消費エネルギーを削減すれば国内の「省エネ」に寄与することになります。

「空圧機器の省エネ」。それはエア機器の高効率化、適正な設備と配置、機器の圧力損失の低減、エア機器の見直し、配管途中のエア漏れの防止等と、まだまだ見直さなければならないアイテムが少なくありません。生産工場における圧縮エアの圧力損失は、大きなエネルギーの無駄使いとなっています。

例えば一般工場における設置配管の使用端における平均的な ΔP=0.07MPa(14%)の圧力損失は、流量損失に置き換えると約40%のエアを徒に逃していることになります。(以下の項目2参照)

弊社は、1990年初期から空圧機器関連工場において、エア機器の省力化と省エネを各々の現場において提唱してまいりました。以下の事例はこれまで各工場において圧縮機の電力費の削減とエア機器の故障の低減化に寄与できた改善事例を挙げたものです。

今一度空圧機器の省エネルギーの観点から、以下の改善事項をご参考賜りますようお願いを申し上げます。


省エネ効果があった改善事例
1.エア配管は、使用端へ行くほど細くなるよう配管口径を選択して下さい
エア流路の拡大縮小、ニップル等の異型変形、近距離の流入角度の大きな変更は、送気中に大きなエネルギーロスを伴います。配管途中が太くなっている場合や凹凸の多い配管や、全体的に見て使用端へ行くほど太くなる配管は、流速が早くなるほど大きな圧力(流量)損失が発生します。

配管口径は、ヘッダーやループ、レシーバータンクを除いて、使用端へ行くほど細くなるような管径(例40A→25A→10A→8A、ループ配管は枝管を細めに)を選択し、配管願います。またゴム、ビニール配管はエア温度が放熱しにくいことと抵抗が大きいため必ず使用端に設置願います。

配管抵抗は、フィルタ等のエア機器を除いて実際に通気した時の最大圧力損失を、最低0.015MPa以下になるよう配管口径を設計して下さい。
この改善で、最大でエア消費量を30%まで節約することが可能です。


2.エアフィルタのエレメントの交換時期は、ΔP=0.03 MPa以上の差圧が圧力計に表れる前に
元圧力0.70MPaの配管に直列に設置されているラインフィルタとミクロンフィルタ2個が目詰りして合計で0.10MPa (14%)の圧力損失が発生したとすると、流量損失に置き代えると、これらのフィルタには約40%の流量損失が起っていることになります。
(A:通過面積、T:絶対温度)
100%のエア供給量に対して、この圧力損失ため約40%もエアを無駄に捨ててしまっていることになります。言い換えれば、0.60MPaまで下がった圧力を0.67MPa(ΔP=0.03MPa)まで回復させようとすると、余分に40%のエア量が必要ということになります。

フィルタの圧力損失は、こんなに無駄なエネルギーを消耗していることになります。配管内やエア機器で発生する圧力損失は、流量損失と同じことを意味し、それだけ大きなエネルギーを徒に逃していることになります。

そのためフィルタエレメントは、大きな差圧(ΔP=0.03MPa以上)が計器のゲージに表れる前に、可能な限り新品に交換して下さい。それは実際の圧力(静圧)降下が圧力計では計測しにくいことと計器に表れる時はすでに使用端で大きな圧力損失が出ていることが多いためです。また洗浄したエレメントは、計器に表れないが新品と比べて実際の差圧が大きい場合が多いためです。 (非常に詰まりが速い場合は、粗めのフィルタを、もう1セットプレフィルタとしてご使用下さい。年間を通した差圧は小さくなります。)
フィルタの差圧を0.07MPa(14%)下げると、実に40%もエア量を節約することができます。フィルタエレメントは、圧力損失が圧力計ゲージに表れる前に、または定期的に交換することが大きな省エネにつながります。


3.以下のエア機器は、流量損失が大きい順に列挙したものです。これらの機器は、ご想像以上に大きな圧力損失(流量損失)が発生します。 そのため流路抵抗が大きい機器ほど、可能な限り使用端に移動させて下さい。
流量損失が大きい順
@カプラ、接続継手AブースターBリブリケーターCレギュレーターD電磁弁EストップバルブFゴムホース(ラバー)G異型ニップルHミクロンフィルタI長時間使用のフィルタJ近距離にある3個以上のエルボK細過ぎる配管L太過ぎる配管M錆びが多い配管
例えば、近距離にあるカプラを数個直列に使用すると、流量は半分以下に落ちてしまいます。また数個の近距離にあるストップバルブの直列使用は、少なくとも5〜15%の圧力損失を発生させます。配管内の凸凹や曲がりは、流速が早くなるほど大きな乱流と抵抗となって圧力損失を発生させます。

エア配管のポイントは、外観から見てスッキリした配管を施工することです。外観からみて審美性があるエア配管ほど抵抗が少なくなっています。
この改善で、最大30%のエア節約が可能です。


4.アフタークーラー、冷凍式エアドライヤ、レシーバータンク、ラインフィルタ、ミクロンフィルタの設置配列順序は、省エネに直結
基本的には以下の順に配置して下さい。使用端で流量変動が大きい場合、途中配管のエアの流れがスムーズになる分、全体のエアの消費量は少なくなります。
@使用端における流量変動が小さい場合
コンプレッサ → アフタークーラー → レシーバータンク → ラインフィルタ → 冷凍式エアドライヤ → マイクロミストフィルタ → レギュレーター
A使用端における機器の瞬時の負荷変動がプレス機器等で非常に大きい場合
コンプレッサ → アフタークーラー → ラインフィルタ → 冷凍式エアドライヤ → マイクロミストフィルタ → レシーバータンク → レギュレーター
B冷凍式エアドライヤ内蔵式コンプレッサの場合
内蔵式コンプレッサ → レシーバータンク → ラインフィルタ → マイクロミストフィルタ → レギュレーター
注:中空糸膜式ドライヤやミストオールは、マイクロミストフィルタの前(一次側)か、その代わりに設置するのがベスト。
この改善で 最大20%のエア消費量の節減が可能です。


5.2機種以上のコンプレッサを並列使用する場合のエアの合流場所、また配管途中でエアの流れ方向が大きく(100度以上)違って合流している場所には、ヘッダー(レシーバータンク、エア貯め)か、もしくは逆止弁を使用して下さい
2機種以上のコンプレッサを並列使用する場合、それぞれ設定圧力が同じでも、エアが混合する場所においては少なからず差圧が生じます。例え小さな差圧でも、より高部から低圧の方へとエアは逆流します。そして混合場所付近でエアの衝撃が起きることになります。この衝撃は、エアの流れ方向に逆らうほど大きく、また差圧があるほど大きくなります。また、使用端において圧力損失(流量損失)となって現れコンプレッサの負荷を大きくします。

そのため2機種以上のコンプレッサのエアが混合する場所では、衝撃を緩和するため余裕のある大き目のヘッダーを取り付けるか、または差圧が大きい場合、混合する手前30〜50cmに抵抗の少ない逆止弁を設置して下さい。また、合流する2種類のエア流れ方向が大きく違う場合でも同様の衝撃が起きますので、この場合、角度を最低90度以内に抑えるか、ヘッダーを効果的に使用して下さい。
差圧の大きさや入気する角度にもよりますが
最大で30〜40%の節約になります。



6.高温排気のコンプレッサは、周辺低部から上部へと送気
室内で設置されたコンプレッサ本体の温度が上がると、使用端のエア機器に大きな影響が出てきます。高温になれば中間の冷却機器に大きな負荷がかかり、使用端においても水分、油分等の不純物が発生しやすくなります。そのためコンプレッサ周りの換気には十分な注意を払う必要があります。コンプレッサ周囲の換気をいま一度ご調査願います。

コンプレッサ周辺を上部から送気しても水平方向から送気して冷やしても、あまり大きな効果は期待できません。高温のエアは真っ直ぐ上部へと高速で流れる性質がありますので、コンプレッサ周辺を何らかのクーリング装置(工場扇機等)で低部から上部へと、また外部へと強制排気願います。そうしますとコンプレッサ本体の温度が下がり、排出温度も10〜30℃も下げることができます。

コンプレッサのエア排出温度が下がると、使用端の水分、油分の発生量を押さえ、コンプレッサの寿命を延ばします。


7.エア配管は、可能な限り曲がりを緩やかに
圧縮エアは、それ自体大きな質量(重量)を持っています。その質量は、エア配管内で高速になるほど動荷重となって働きます。すなわち流れ方向が、直進からの角度が変化するほど、エアの慣性が管内壁面に働き、縮流部ができ流れにくくなり、その結果その場所で乱流が起きます。角度120°のエルボより90°のエルボの方が、乱流係数(流量損失に相関性)は、ストップバルブ0.5個分ほど大きくなります。そのため配管やホースの設置において可能な限り緩やかな曲がりをとり配管設計願います。
この改善で、5〜15%の節約が可能になります。


8.オートドレンの故障率を下げれば大きな省エネ
オートドレントラップが吹きっぱなしになれば、1個当り300リットル/min(数KWのコンプレッサに相当)以上のエアを放出します。これが数個になり、圧力が高く、放出時間が長くなればそれだけ膨大なエア量の損失になります。しかし、オートドレンは、配管内の不純物に接する時間が長いためエア機器のなかではもっとも故障率が高い製品になっています。
この故障率を下げるには機械的な故障を防ぐより、オートドレンの使用方法と設置方法に目を向ける方が故障率の低減となります。
以下は効果があった改善事例になります。
@オートドレンの入口配管には、直管部を設けて下さい
直管がないと閉弁間際にオートドレンの出口側の流速がその分落ち、器内に不純物の詰る確率が高くなり故障の原因となります。
Aオートドレンのドレン排出側の接続配管は、太めにして短く
ビニールホース等の接続配管が長い場合(50cm以上)、また細い場合は閉弁時に背圧が掛かるため、ゴミ咬みが多くなり故障の原因となるため。
Bオートドレンの容量の選定は、ドレン排出量の3〜5倍程度の安全率をとって選定して下さい
排出流量に対して排出部ポートの口径が小さければ故障率は上がり、作動回数が多くなればその分故障率が高くなるため。
C集合仕様のオートドレンは、故障率が非常に高くなるので、配管、タンク、除湿機器等には、各々に1個づつのオートドレンを設置して下さい
出口に近い部分だけのドレンしか排出しないためと、容量不足になる可能性が大きいため。
D故障が頻繁に起りやすいラインには、オートドレンの一次側に粗めのフィルタを設置
オートドレンの故障が起きやすいラインは、そのラインの高いエア汚染度が考えられます。オートドレンに内蔵されているフィルタが詰れば流速が落ち故障率は極端に高くなりますので、このようなラインには必ずエアフィルタをオートドレンの手前30から50cmに設置して下さい。


9.冷凍式エアドライヤの前後の配管は、除湿性能に影響
冷凍式エアドライヤの性能は機内の静圧に比例して変わります。例えば1.0MPa時のエアの乾燥度(大気圧露点−15℃)は、同じ条件では0.5MPa時の倍の乾燥度(−6℃)になり、0.5MPa時の乾燥度(絶対湿度3.0g/m3)は、1.0MPaの約半分の乾燥度(絶対湿度1.4g/m3)になります。すなわち冷凍式エアドライヤは、機内の圧力(静圧)が高くなる程除湿性能を発揮します。気付かないうちに動圧は立っているが静圧が下がっていると、使用端に水滴が発生します。

そのため冷凍式エアドライヤの機内は、静圧が下がらないよう、その前後1〜2mの配管は、1次側の抵抗より2次側の抵抗の方が大きく(先細りに)なるように設計して下さい。例えば入口側近くにバルブ2個が設置されていて出口側にバルブが無い場合、流速が増すと冷凍式エアドライヤ機内の静圧が下がり気味になり、実際の除湿性能に影響が出てきます。

このような場合、入口側の抵抗(バルブ等)を除くか、またはより大きな抵抗(バルブ、エルボやレギュレーター)を出口側(2次側)に設けると静圧が回復し、その分性能が回復します。また、ドライヤの出口側直ぐ近くにタンク等が設置されているとドライヤ内の静圧が下がり性能が出にくくなる場合があります。このような場合、タンクの上流側(ドライヤの下流側)のバルブを、(使用端に圧力損失が出ない程度まで)絞り込むと静圧が回復しドライヤの性能が改善されます。

周囲温度が高くなって夏場等に原因が分からず冷凍式エアドライの性能が出にくい場合、空圧機器の省エネのため、冷凍式エアドライヤの前後のバルブ、レギュレーターや電磁弁等のエア機器、配管口径を今一度点検願います。


10.コンプレッサの2機種以上の並列仕様は、50%増しのアフタークーラー(冷却装置)が必要
コンプレッサの2機以上の並列使用は、1機使用の時と比べ相乗的に排出エア温度が高くなります。

それは並列使用が、メインの機種が能力の上限付近で使用されることが多いこと、排気温度が1機の使用の場合と比べ平均して10〜35℃も高くなることが多いこと、また上記に記載しているようにエアの交錯場所で衝撃が起きるためコンプレッサの負荷が大きくなり相乗的に排気温度が上がる場合が多いこと、が主な理由になります。またその結果、アフタークーラーの温度が設計値より上がり、その影響で冷凍式エアドライヤ等の冷却温度が下がらず、ライン全体の温度が上がる形になり、使用端で水分が発生しやすくなります。

そのため2機以上の並列仕様には、以下の点に注意して配管して下さい。
@コンプレッサから最低2、3m以上の距離を取り、1.5〜2倍の容量のヘッダーかレシーバータンクを設けて下さい。コンプレッサからの配管は直接ヘッダー及びタンクに繋いで下さい。
Aアフタークーラーは、通常の1.5〜2倍の容量を選択して下さい。
B冷凍式ドライヤは、余裕を持った能力のものを選定して下さい。
C室内の並列使用のコンプレッサは特に高温になりますので、底部から上部への換気は十分に行って下さい。
コンプレッサの排気温度は、エア機器の故障と寿命に直結しています。


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